≪イベントレポート「ESSJ2019」≫「蓄エネを市場とシステムに統合する」道筋を求めて

「持続可能な蓄エネ」の在るべき姿とは

セッション4は「エネルギー貯蔵はシステムへ:テクノロジー」。「エナジー・ストレージ・ヨーロッパ」会長兼ZAE Bayern研究所蓄エネ部長A・ハウアー博士が司会を務めた。エクセルギー・パワー・システムズCEOのM・ムセル博士は、再エネの増加によりグリッドは短時間の柔軟性を求めることになると提起。そのソリューションとして、60秒から120秒で高速反応する同社の蓄電システムを提案した。高砂熱学工業事業革新本部イノベーションセンター技術研究所上席研究員の谷野正幸氏は、同社の開発した様々な熱エネルギー貯蔵システムや、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と実証開発中の吸着材を用いた蓄熱システムについて説明した。

CLIMEON社CTOのJ・カートヘウザー博士は、70~120℃の温水で発電し低温排熱や地熱などで使用できる同社の150kW発電ユニットを紹介した。東京大学先端科学技術研究センターの杉山正和教授は、国内の再エネ導入の拡大には水素の利用が不可欠だと主張し、その背景と、現在進行中の日豪間の水素輸送プロジェクトなどについて解説した。

フォーラムには大勢の来場者が参加した

セッション5はパネルディスカッションとなり、ハウアー博士の司会で、パネリストとしてライト氏、ティルトン博士、杉山教授、ゲルトナー氏、ウィンデレン氏が登壇し議論した。最初に「エネルギー貯蔵:挑戦と課題」をテーマにパネリストの意見が述べられ、次いで会場から質問が募られた。パネリストに共通していたのは、再エネと、その拡大のために畜エネを組み合わせて導入することは、方向性として正しいという持論だ。ただし導入のスピードは、政権や既得権益に大きく左右される。同時に再エネのような社会システム変革のための投資は誰が負担すべきなのかという点についても、議論は広がった。

加えて再エネがもたらすエネルギーの分散化は、既存のグリッドという社会インフラ維持に対するリスクとなるという指摘もあった。グリッドパリティによって自家消費が進めば、アセットに投資できない人だけが取り残され、グリッドが空洞化し不安定になる可能性がある。また分散化の現実的な問題としてサイバー攻撃や、エネルギーコストの地域差の発生なども挙げられた。

今回も最新のエネルギー貯蔵の動向が共有され、熱い議論が交わされたESSJ。次回は2020年6月24日(水)に開催される予定だ。

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