JPEA「2050年に全電源構成中31%を太陽光に」具申 GHG排出削減・燃料費削減の便益計算も実施

蓄電池が生み出すメリットも試算

ビジョンでは、太陽光発電と組み合わせるエネルギーストレージ、特に蓄電池の重要性も強調されている。今回、2050年に太陽光を直流420GW導入した場合の系統の電力需給バランスのシミュレーションも実施した。電源構成で31%も太陽光が占めるに至ると、特に春季などの低負荷時には余剰電力が多く発生しそのままだと出力制御の量も膨大になることが当然予想される。

2050年における出力制御の率の試算。「直流420GW+蓄電池 高位」のケースでは抑制率は6%に抑えられる(出典元:JPEA)

そこで需給バランスのためのデバイスとしてストレージが重要になってくる。シミュレーションではストレージとして、定置式蓄電池は高位として約5.0億kWh(需給バランス用)、低位として約1.7億kWhが導入されている想定を置いた。そしてもともと本ビジョンでは大幅に活用が拡大されていると想定されているEVに関して約6,000万台が導入(軽油貨物以外の車種は全てEV化されるとの前提)かつデマンドレスポンスのリソースとして活用されていること、充電可能な台数は20%とすることという最大化ケースの具体的な条件をインプットした。またヒートポンプ給湯器に関しても最大化ケースでは合計約4,000万台稼働というほぼ全世帯に導入されている条件とした。

その結果、太陽光直流420GW導入+蓄電池高位ケースでは、太陽光発電の出力制御の割合は7%になるとの予測を弾き出した。これが蓄電池低位ケースでは出力制御割合が28%にもなるとのことで、蓄電池の効果が定量的に示される結果となっている。

以上を踏まえると、高位ケースである太陽光直流420GWを導入した2050年の電源構成において、太陽光の発電量は4,213億kWとなると試算されている。最終エネルギー消費に対する太陽光の発電量も18.9%にのぼると試算している。結果、低負荷時には火力発電の稼働は僅かで済むとされ、火力の全期の発電量も現在の約8割から最小で25%まで圧縮される結果、火力由来のCO2排出量も最小で1.41億トンCO2と、2013年比で11%程度まで減少すると試算した。

JPEAが試算した、太陽光FIT設備の買取費⽤総額。買取費用は2022年前後からピークアウトすると予測している(出典元:JPEA)

併せて太陽光の主力電源化による便益も算出されている。これによると、太陽光直流420GW導入+蓄電池高位ケースが実現した場合の2050年度には、2.59億トンCO2のGHG削減、原油換算で9,600万kℓのエネルギー自給率向上貢献と2.7兆円の化石燃料費用削減に貢献できるとしている。またこの中でFIT制度における賦課金総額について、2022年度(2.4兆円)の前後からピークアウトするとの重要な見通しも示している。その後2032年から、現状の買取費用総額で大きな割合を占めている制度初期認定案件の買取期間が順次満了していくため、買取総額が急激に減少していくとも指摘している。そして2012年以降の全設備を対象とすると、2035年からは便益が費用を上回り、2056年には累積で便益が費用を上回ること、2020年以降のFIT/FIP導入設備を対象とすると、2028年には累積で便益が費用を上回るとした。

その上でビジョンは、「設備の負担は今は大きいが、30年後の世代が使う電力エネルギーの半分以上は燃料代がいらない再生可能エネルギー社会に変化。これからの社会を支える長期的な視点で費用便益を議論することが重要である」と結論している。

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