新エネルギー財団「導入促進に向けた提言」まとまる⑦水力

水力を「古くて新しい」再エネにするために

(一財)新エネルギー財団が発表した、令和元年度(2019年度)の再エネ・分散型電源に関する「新エネルギーの導入に関する提言」。提言は、産学で構成される財団内の新エネルギー産業会議(議長:牛山泉・足利大学理事長)で取りまとめられた。既に経済産業省資源エネルギー庁に提出されている。

産業会議には分野ごとに委員会が設けられており、提言もそれぞれの委員会別にまとめられている。今回はその中から地熱発電の提言を考える。

[画像・上:長期エネルギー需給見通し(2030年エネルギーミックス)資料:経産省]

経済産業省の調査資料によると、2017年の日本国内における電源構成中、再エネの割合は17㌫。そのうちの約半数、7.9%を水力発電単独で占めている。

2030年エネルギーミックスにおいては、これをさらに8.8~9.2%に伸ばすとされている。本提案ではこのエネルギーミックス達成への足掛かりを述べることから始まる。提案によると「既存の水路工作物等を利用した小水力発電が、FIT制度や補助金によって導入量を着実に伸ばしている」一方で、「新規地点の開発は伸び悩んでいる」という。

水力の新規開発が進まない理由として、「有望地点は山間部に多く」、土木整備や系統連系に係る費用が増加する傾向にあることが言及されている。もともと導入コストが大きく資本回収に長期間を要する特徴も持っており、水力の持つこうしたコスト面の課題に対しては、現在行われている水力発電事業性評価等支援事業や現行地域理解促進等関連事業などの「支援制度の継続」、「FIT制度見直し」における「長期的な経済性を見通せるような制度」の導入と「水力発電設備の耐用年数を考慮した長期間の買取期間の設置」、ノンファーム型接続の推進やアクセス道路・トンネル導水路への支援などの「普及拡大に向けた支援」を求めている提言①「水力開発の特徴を考慮した支援制度の拡充・強化」にまとめられている。

またこの段で、今後益々進行することが予想される既設水力発電所の施設老朽化に対応するために、現行FIT制度におけるリプレース開発の継続も提案している。日本の近代化を支えた歴史ある電源である水力発電には、近年の技術革新により設備更新が出力増加につながる(リパワリング)可能性がある発電所も存在する。既設発電所の延命以上の意味を持ちうるリプレース支援は重要と言えそうだ。

提言②は「地域との共生関係構築に資する理解醸成策の拡充」とのタイトルが付けられている。この中でまず触れられるのが「電源立地居域対策交付金の交付要件緩和」だ。水力発電の開発に当たっては、用地の確保や環境面への影響などの立地地域特有の負担があり、立地地域の地元都道府県・市町村・漁業関係者などの理解と協力を得ることが重要だ。また、建設後数十年にわたって発電が継続する息の長い電源であるため、発電所の維持管理に関しても地域住民及び地元協力会社の信頼と協力が不可欠になる。

現在、電源立地に関する助成制度として、電源三法に基づく「電源立地地域対策交付金」が地元市町村に交付されており、地域住民の利便性向上や地域の活性化を目的とした事業の支援を通して「発電所と地域の良好な共生関係の維持に貢献してきた」。このうち、水力発電に関係するものは、「電源立地等初期対策交付金相当部分」、「電源立地促進対策交付金相当部分」及び「水力発電施設周辺地域交付金相当部分」であるが、これらの交付金は、主に電力需給上、重要な電源である大規模新規水力開発や複数の発電所が所在する立地地域などが交付対象になっているという。

「既設発電所の設備更新を行う場合であっても、更新工事に伴う立地地域への影響は決して小さいとは言えず」、地元の理解醸成を図ることが重要と本提言は強調。また「近年は1,000kW未満の小水力発電の開発や出力増加を伴う既設発電所の更新工事が増加しているものの、交付対象外であるため、立地地域が水力発電の恩恵を感じ難い状況になっている」と分析する。

さらに、国内の水力発電施設の経年が進み、運転開始後15年以上経過した設備を対象とした「水力発電施設周辺地域交付金相当部分」について、これから交付期間の満了施設が続出すると言う。同交付金は「水力発電施設周辺の地元市町村の地域振興を図るうえで重要な役割を果たしており、交付期間の延長が望まれる」と提言している。

このことから、電源立地地域対策交付金(水力関連)について、中小水力発電の導入が進むよう交付要件などの緩和を行い、立地地域の所在市町村との共生関係を支援することを要望している。

また同じく所在市町村への取り組みとして、現在は都道府県の一般財源に組み込まれている一級河川及び二級河川の流水占用料の使途を明確化することで、「立地市町村が水力発電からの恩恵を目に見えるように」することも要望している。
提言③「水力開発に係る許認可手続きの簡素化・迅速化」ではまず、通常だと3年から4年は要すると言われている環境影響評価法に基づく環境アセスメントについて、「その間の社会・経済環境の変化によるリスクを少なくするため」、環境アセスの手続きの迅速化を求めている。

また、国立・国定公園内で発電所を開発する際の許可及び届出について、自然公園法に基づく審査基準の明確化も求めた。本件に関しては風力・地熱については基準が明確に存在するとのことで、水力にも明示するべきと主張している。

同様に複雑な許認可は保安林内(森林法)や河川(河川法)における開発でも存在しており、提言はそれらを簡素化し事業リスクの回避を図ることを要望している。

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