≪レポート≫EVでの実証試験 コムスに刈払機を搭載【千葉エコ・エネルギー】ソーラーシェアリング由来の再エネ電気を自家消費

営農しながら、農地上に設置された太陽光発電によって電気を作り出す営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)が全国で確実に広がっている。「農作物に最も必要な太陽光を遮って農業などできるわけがない」という声が当初は多かったが、実践を繰り返すことで各種技術の蓄積も進み、農村部において食料とエネルギーを同時に供給する可能性も見えてきた。

ソーラーシェアリングについては全国でもトップクラスの実績を持つ千葉エコ・エネルギー(千葉県千葉市、馬上丈司・代表取締役)は、5月からソーラーシェアリングと小型電気自動車(EV)を使った実証試験を自らが所有するソーラーシェアリングの千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機(千葉市緑区大木戸町、定格出力625kW)で展開している。

実証に使用しているのはトヨタ車体の超小型EV「コムス」。千葉エコ・エネルギーはソーラーシェアリングに係るコンサルティング事業を展開しているが、2018年4月に大木戸アグリ・エナジー1号機を開設すると同時に農作業を担当する別会社の「つなぐファーム」も設立し農業参入を果たしている。

[画像・上:ソーラーシェアリングとトヨタ車体の超小型EV「コムス」]

初年度の2018年にはおよそ1haのソーラーシェアリング下でニンニク栽培を行った。そのために必要となる一連の生産機材も導入している。2年目の2019年にも同様にニンニクを栽培し、6月にかけて収穫作業を終えたばかりだ。すでに2年間の実績があり、ここから得られた各種データはこれからのソーラーシェアリングのあり方を研究するために役立てられる。

ソーラーシェアリングの導入は全国で進んでいるが、そのメリットとして農産物収入以外に売電収入もあるため収益が増す、農業経営も安定化することなどが強調された。こうした利点があることは事実だが、FIT制度による制約もあり、非FIT案件において自らが発電した再エネ電気を使用する自家消費も重要となっていた。

このため同社は早くから電動刈払機、電動運搬車などの導入を進めてきた。農作業に最も大きなウエイトを占めるトラクタでは電動タイプがないので既存のディーゼルエンジンタイプを使用している。ここにトヨタ車体の超小型EV「コムス」が加わった。

電動刈払機による草刈り作業

電気自動車がソーラーシェアリングの農作業でどんな役割を果たすことができるのか。使ってみなければわからない。そのための実証試験だ。コムスを使った農作業担当の現地スタッフたちは「少し離れたところに大木戸2号機も開設された。そこへ刈払機を持って行かなければならないことがある。軽トラもあるが使用中のことが多い。刈払機を担いで自転車に乗ることもできない。コムスに搭載できるようして欲しいとメーカー担当者にお願いした」と教えてくれた。

ソーラーシェアリングは食料とエネルギーを供給することで地域社会を自立させることができる。昨年、千葉県では台風19号によって大規模停電が続いた。その時に別地域だがソーラーシェアリングで発電される電気を使ってスマホに充電をするなどして緊急時に対応できることが確認されている。農村にある再生可能エネルギーのポテンシャルが認識された。

「コムスに刈払機を搭載する」など荒唐無稽に感じてしまうが、未来を支える新しい技術はこんなところから生まれるのかもしれない。大木戸1号機の実証試験から農業とエネルギーの新しい形が見えてくる。

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