≪特集≫動き出した「コーポレートPPA」国内のビジネス

「再エネ電力の直接調達」JCLPが拡大推進

2050年カーボンニュートラル、2030年GHG46%削減達成のためには、再生可能エネルギーを今まで以上のペースで普及させる必要がある。そんな中、RE100参加企業などの需要家が、主体的に再エネを入手する動きが加速している。発電事業者から長期契約で再エネ電力を購入する「コーポレートPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)」の取り組みだ。

[画像・上:電事法上の電力直接調達の類型(資料:経産省)]

世界ではコーポレートPPAが再エネ拡大の大きな推進力となっている。REN21の「自然エネルギー世界白書2021」(※)によれば、2020年に世界でコーポレートPPAにより追加された発電容量は23GWに上り、世界全体に追加された再エネ発電容量256GWの約9%に当たる。

脱炭素社会実現を目指す企業グループの日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)は、この流れを日本にも波及させようと、昨年より「JCLPコーポレートPPA組成プロジェクト」を実施する。プロジェクトは日本におけるコーポレートPPAの実現課題の検討、関連制度を所管する省庁との対話を経て、スキームの検討および事業の組成支援の段階に入った。

三井不動産ESG推進室長・杉野茂樹氏

JCLP会員企業で組成プロジェクトの中心メンバーである三井不動産は、RE100参加をきっかけにJCLPに加入したが、ESG推進室長の杉野茂樹氏によれば「この1年ほどで再生可能エネルギーの需要が一気に広がってきた」という。三井不動産のオフィスビル、ショッピングセンター、物流施設などで、テナントから消費電力を再エネに切り替えたいという要望が入り始めた。杉野氏は顧客ニーズについて、「外資系に限らず、サプライチェーンの中で再エネ化を求められている。SBTのスコープ3まで脱炭素化する流れが強くなっている」と分析する。対応するためにまずは東京電力と包括協定を締結して卒FITの非化石証書付電力の供給を開始した。自社でメガソーラーも所有し、開発も続ける予定だが、RE100に必要となる自社の使用電力を賄い、顧客の要望に応え続けるには「再エネ導入のスピード感が足りない。自前の開発には土地探しなども含めて時間が掛かる。様々な企業の力を借りるコーポレートPPAは拡大のスピードが違う」(杉野氏)。

みんな電力専務取締役事業本部長・三宅成也氏

期待されるコーポレートPPAだが、まだまだ導入事例が少ない。JCLP副代表で組成プロジェクトを支援するみんな電力は、小売電気事業者として需要家と発電事業者に電力供給のプラットフォームを提供する。海外のPPAでは直接契約を結ぶのが通例だが、国内は電気事業法の関係で小売・発電事業者が協力して供給することが多い。組成プロジェクトでは会員同士で需要家と発電事業者をマッチングし、スキームを確立する。現在は発電事業者の提案に対し、関心のあるJCLPの需要家を募り、実践に向けて調整中だという。専務取締役事業本部長の三宅成也氏は「やはり長期契約がネックとなっている。今まで電力は1年、長くても5年程度の購入契約だったものが、今回のプロジェクトでは20年で、需要家が前例のないことに躊躇するのも当然だ」と話す。ただ「前例ができれば一気に広まる」とも予想している。

それは企業経営において脱炭素、ESGが求められる時代に、「おそらく今後は通常の電力調達でも、再エネ率は50%程度になるが、サステナブル経営を実践し再エネ率を100%にするには、今から長期的に確保する必要がある。その手段としてコーポレートPPAは有効だ」(三宅氏)からだ。さらには「今後カーボンプライシングが実現すれば、電力価格は上昇するリスクがある。コーポレートPPAはそれに対するリスクヘッジになる。再エネの確保だけではなく、経済的なメリットもある」(三宅氏)。

JCLPはこのままの再エネ拡大のスピードでは絶対量が不足することを予見しており、脱炭素社会の実現のためには多くの企業がそのビジョンを共有し、民間主導で継続的な再エネ拡大に取り組むことが重要だと捉えている。そのために組成プロジェクトで2021年度内に少なくとも1件を成立させ、国内企業にモデルとして広めていく方針だ。

※:REN21「RENEWABLES 2021 GLOBAL STATUS REPORT」
https://www.ren21.net/gsr-2021/

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