《創刊10周年特集【こうなる・こうする「10年後のエネルギー、10年後の我が社・我が団体」】》NTTアノードエナジー株式会社
- 2024/6/21
- 特集
- 新エネルギー新聞2024年(令和6年)06月10日付

《今後10年のエネルギーの「キーワード」》
〝質の高い脱炭素〟
[画像・上:NTTアノードエナジー株式会社 代表取締役社長 岸本照之氏]
NTTアノードエナジーは、「脱炭素社会の実現」「エネルギーの地産地消の推進」に向けて、NTTグループの保有する技術やアセットを活用したスマートエネルギー事業を展開しております。脱炭素の視点では、昨年12月に開催されたCOP28において、脱炭素に向けた取り組みを更に加速する必要が議論され、日本も国際社会の一員としてその実現への貢献が求められます。
これから第7次エネルギー基本計画の策定が始まりますが、一方で海外の動きに目を向けると、例えば2月にEUが実質を伴わない環境訴求、いわゆるグリーンウォッシングを禁止する指令案の採択、また温室効果ガス排出量開示のベースとなるGHGプロトコルの改訂に向けた検討が進んでおり、こうした海外での動き次第では、各企業の脱炭素に向けた取り組みの質が問われるようになることも想定されます。仮にアワリーマッチングや追加性等の要件がGHGプロトコルに導入された場合、日本の再生可能エネルギー(以下、再エネ)環境を考えるとたいへん厳しい基準が課されることとなり、今後10年のエネルギー産業を考えるうえで、質の高い脱炭素をどのように実現していくか真剣な検討を深めていく必要があると考えています。
日本の再エネ供給を考えると、これからの10年間で洋上・陸上風力の開発と運転開始、太陽光発電のさらなる拡大により供給量の増加が見込まれる一方で、一部エリアでは再エネの出力制御が既に発電事業者の収益に影響を及ぼすレベルにまで顕在化しており、単に再エネ発電所を大量に開発するだけでは、日本として質の高い脱炭素を実現できないことが明らかになりつつあります。こうした状況の中で、電力の消費者にも電力ひっ迫時のデマンドレスポンスを超え、電力消費パターンに対する積極的なコントロールが求められるようになり、また電力に関わる事業者に対しても、発電、アグリゲーション、電力小売、需給調整などを脱炭素に向けて全体最適かつ安定した供給ができるよう機能させるやり方に加え、災害への備えと災害時の迅速な対応が求められるようになると考えています。
NTTアノードエナジーはこうした各機能を一気通貫でマネジメントする「エネルギー流通」をビジネスの柱として、7月から新たな組織体制で事業を推進していきます。