《【特集】300号記念イベント 講演抄録》東光高岳・石村将章氏:地域の特色活かした街づくりに貢献するEV充電インフラを目指して

東光高岳
GXソリューション事業本部 EVインフラ推進室長
石村将章氏

「EV充電インフラの規格や整備に向けた課題」

世界の充電トレンドは「更なる高出力化」

EVの充電インフラの動向と課題を、充電設備メーカーとしての立場から語ったのが東光高岳の石村将章氏だ。

国が「2030年までに30万口」(急速充電器3万口を含む)の整備目標を立て、また国・自治体が各種整備補助事業を構築したこともあり、2025年3月現在で国内では約6.8万口の充電器が稼働している。これは2024年度から約2.8万口も増えている。この6.8万口の内訳は、急速充電器が約1.2万口で、高速道路・コンビニ・自動車ディーラーなどが主な設置場所となっている。また石村氏によると出力90kW以上のモデルの導入が増加しているという。

充電インフラ整備に伴い、国内のEV車両販売数も基本的に上昇傾向にある。世界のEV市場では足踏み状態と伝えられることもあるが、全体としては依然上昇トレンドにある。その中でも中国のEV市場拡大の勢いは続いており、EV販売比率における中国の割合は25%、またメーカー別のEVシェアだとBYDなど中国系が55%(テスラなど米国系は21%、日産自動車など日本系は3%)を占める。「中国現地を視察すると、EV車両の選択肢の多さ、価格差・充電インフラの差を如実に感じる。中国は既にEV先進国だ」と「充電器の専門家」であり、また個人としてEVオーナー・ユーザーでもある石村氏は、日中におけるEVの状況差を表現する。

世界で急速に進み、国内でも徐々に対応が進みつつあるのが、EVの充電高容量化と、充電器の高出力化だ。このトレンドを捉え、東光高岳は充電器の高出力化を続けてきた。EV充電インフラの新ブランド「SERA」を立ち上げ、2025年4月には出力150kWモデルをリリースした。更に今年中には、400kWにまで出力を高めた次世代の急速充電器「SERA-400」を既に発表している。e-モビリティ・パワーと共同開発したSERA-400は、最大電流400A・最大電圧1,000ボルトで、1台充電時(1口)には出力は350kWを、2台同時充電時には1口当たり200kWで合計400kWを発揮する。

配電領域におけるEV充電の重要性

「(対応EVに)SERA-400で充電すれば、『充電・満充電・走り出し』のプロセスが、ガソリン車における『給油・満タン・走り出し』の使用感により近づく」と石村氏は語る。現在、SERA-400の試作機を国内複数個所に試験設置し、商品化へ向けて仕様の最後の詰めを行っている段階だ。

東光高岳のEV充電器ラインナップ(提供:東光高岳)

充電器の高出力化は、EV車両側が求めているものでもある。石村氏は中国メーカーがリリースを始めたハイパフォーマンスEVの存在を指摘する。それらのEVは、既に最大出力として500kWや1MWにまで対応している。出力400kWを超える段階の到来を目前にする中、自動車用設備としてのみならず、電力ネットワーク全体から見ても、急速充電器の重要性・プレゼンスは高まっている。東光高岳は培ったEMS技術を基に、東京都新島村における島嶼部の電力系統出力変動対応に係る技術開発事業への参画や、またリゾート施設「リソルの森」(千葉県長柄町)における太陽光発電・自営線・自己託送を組み合わせた地産地消エネルギーシステムの構築への参画などを通して、地域の災害対応と地域由来エネルギーの有効活用を実現する次世代の配電事業も展開している。デマンドレスポンスやVPPなどを活用し「地域のニーズ・特色・環境にきめ細かく合わせ込んだ複層的な電力サービスビジネスを行うことで、地域の価値を向上し、地域産業を振興するサイクルを描く、自立型地域エネルギー事業を展開していきたい。その中でEVとその充電インフラは、大きな役割を担うことができるし、担うべきだと思う」と石村氏は、来るべき配電事業の姿を語っている。

EV充電だとどうしても「最新のより高い出力」に目が行きがちだが、東光高岳は普通充電含めて多くの種類の充電器をラインナップしている。本講演後の10月には、最高出力50kWの急速充電器「SERA-50」が、2020年10月の初出荷から5年あまりで累計出荷台数2,000台を突破したことが発表された。EV車種増加や参入EVメーカー増加により多様化する充電ニーズに各種の充電器で応えていく。

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