【特集「分散型電源がもたらす防災・BCP対策・レジリエンス」】⓪分散型電源の「旧くて新しい」付加価値であるレジリエンスが今、注目される理由
- 2020/3/9
- 特集
- 新エネルギー新聞2020年(令和2年)03月09日付

東日本大震災以降、弾力、復元力、回復力を意味する「レジリエンス」という概念が、災害対策において注目されてきた。2015年3月、仙台で開催された第3回国連防災世界会議では、東日本大震災の経験と教訓が取り入れられた「仙台防災枠組2015-2030」が採択され、2030年までの15年間、世界の国々がこの枠組に沿って防災・減災に取り組むことに合意した。
[画像・上:2019年9月に台風15号が上陸した際は、千葉県を中心とする広範囲が長時間にわたり停電するなど、大きな自然災害が発生した。その停電の中で、設置された太陽光発電と蓄電池を活用することで生活家電などの利用を継続できた事例が複数報告された(資料:経産省)]
「レジリエンスのための災害リスク削減への投資」が優先行動の1つとされ、レジリエンスは「ハザード(災害原因事象、外力)に曝されたシステム、コミュニティあるいは社会が、基本的な機構及び機能を保持回復することなどを通じて、ハザードからの悪影響に対し、適切なタイミングで、効果的な方法で抵抗し、それを吸収・受容し、またそこから復興する能力(※)」と定義されている。
このレジリエンス強化に資するものとして、再生可能エネルギーをはじめとした分散型電源が改めて脚光を浴びている。契機となったのは2018年の北海道胆振東部地震で発生した、国内初のブラックアウト(全域停電)だ。住宅用太陽光が非常用電源として活用された。太陽光発電協会(JPEA)が実施したアンケートでは、蓄電池を併設しないケースでも約85%が自立運転機能を使用しており、「冷蔵庫の中の食材を腐らせずに済んだ」「炊飯器でご飯を炊くことができた」「携帯電話を充電できた。また、近所の方も充電することができた」「ポータブルTVで震災情報をいち早く入手することができた」といったユーザーの声が寄せられた。同時に蓄電地を併設しているユーザーからは、「約2日間問題なく生活できた」「近所が真っ暗な中、自宅のみが電気がついていた」など、平常と変わらない生活の様子が伝えられている。
地域のレジリエンスへの貢献では、稚内市が所有する蓄電池付太陽光が、地震発災直後に系統から自動解列したもののすぐに系統から独立し、自営線で連系した公園、球場などに電力を供給し、非常用電源として活用された事例がある。ブラックアウトを受け設置された経済産業省の電力レジリエンスワーキンググループは、2018年の中間取りまとめの中で中期対策として、再エネの出力変動への迅速かつ効率的な対応などを可能とするネットワークのIoT化を推進し、大規模停電などの災害時にも蓄電池などを組み合わせて地域の再生可能エネルギーを利活用するモデルの構築を進めるとしている。
※国連国際防災戦略(ISDR)防災用語集(2009年版)
JPEAは住宅用太陽光ユーザーに向けたアンケートで「自立運転機能を知らなかった」「使い方が分からなかった」という回答があったことから、ウェブサイトに太陽光発電システム各社の「自立運転機能」に関する情報を集めたページを掲載している。
「住宅用太陽光発電システム 停電時の自立運転について」
http://www.jpea.gr.jp/topics/jiritsuunten.html
【分散型エネルギーが資するレジリエンス強化のソリューション①デルタ電子へ続く】

